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或る人の話

貴方の目は片方だけ大きい。普段でも幾度言われる事に対して、あまり疑問を感じたことはなかった。どうして人々はそう言うのか、どうでもよかった。

これはそれほど魅力的?
それとも私がなにかをしたに違いない、と。
因果の故に奇抜なこの顔、この形と成り果てたのならその為に私は必死に生きようとするだろう。だけどそういう直観を探すのはあまりにも虚しい。私は全くその為に生きているのではなかった。変畜な姿の為に生きることもまたあり得たように思われても、実際私は気に留めることさえ殆ど無かったんだ。そうでなくて何かしらの罪や罰、不届や怠慢の故であって、それにも関わらず、そのことを私が気づいていないなどと言うのならそれはどういう思考の戯れだろう。単に思ったことを率直に述べるような人であるなら彼は些か恍けている。そうした人に対して私は何も言うまいよ。整理するような気持ちで一息吐いて、私はもう一方の可能性を考えてみた。魅力。この世とあらば妙な趣向を深めてきたような人もいる。人々は私の魅力を目に見出したに違いない、そう云う証拠が実はあった。堪らないという態度でどうも私に会いたがって、そして会って話す時は目を見ず、私が視線を端へ少し逸らしていると或る人は凝っと見てくる風で、それがとても動物的に思われた。この話を魅力と結びつけるのに、何程の人が私を傲慢だと見なすだろう。残念ながら私は然程の早計を致すまで不自由じゃない。

どうして私がこのようなことを考え出したのか。それを問うと、身体の底で微動の震えが聞こえてくるようだった。時は遡って、私は視界を失ってしまったのだ。