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あおの日

萎れた茎にも春が来た
蒼ざめた顔に
恋のように冷めた目に
隈なく映える春が来た

朝ぼらけを報せようと
鶏は詩を歌う
蒼空広げて鐘鼓を奏で
雲なき初心の朝は来る

よい日

みどりのそよ風の心地よい日の午睡を呑んで、歩く夕刻の時。七色畑も赤めいて、ひとつの鳥が小さく飛んだ影を残す。私の夢見るあいだ、私の大きな鯉、私の小さき恋人、私のひとりの弟は、陽射しの明るい公園で遊んだのだろうか、薄汚れた靴を玄関に放って私と代わるように居間で眠っていた。摘んだ花を手にして可愛いように眠っていた。私が帰ってきたら、一緒にご飯を食べようね。外に出て、しずかな道を休まる風と共に歩くひととき、心やさしく夕暮れの空が私を染める。暗い夜に居て自分を見失わない為、明日をいっそう確かなものとする為に。


心の火が灯るとき、私はそれを頼もしく思った。その火は私とひとしく小さいが、それでも確かに在るのだ、と。私の言葉に応えるように火は揺れた。春を彩る風を感じてふと、夜になったと思い出す。


彼の部屋の明かりを確かめて、私は玄関を叩いた。扉の奥で階段が鳴る音が聞こえると思ったら、音は既に私のすぐそばにまで近づいた。気付くと私の胸が高鳴っていた。開いた玄関から顔を覗かせた彼はそのままに、私は何も言えずに、目と目だけが見つめあった。私の顔は赤くなった。彼の視線が少し変わったのを辿っていくと、玄関から月明かりが見えていた。


五月の広々とした雲間から、仄明るく照る月を、映す心の底の花、かおる優しき人の影を、たどる家路のひとり道、遠くわずかにひかる家が見える。夕飯だ。弟よ、心の鐘を鳴らしておくれ!

正気

乱視によれば凡ゆる感情は恋だ。私は恋という幻を見ておりました。だけどこれからは正気でこうも言えるというわけだ。あなたが好きです、あなたが私を好きだという、その同じ意味で、と。私だって、人の思惑に首吊り縄で吊り下がっている人間ではない。そしてそれは相手も望んでいることだろう。すると、私は何も失っていないということに気がつくのである。

ブリュッセルへ行きましょう

日と月とが渦巻いて、運命のドラムが鳴り響く、巨きな夜の迎えるピリオドで私は蹲る。どうしてか、そうなんです、とてもうずうずしている。窮屈から飛び抜けようと精神が私の感受を擽っている。一つベッドの上で横たわったら、まるでそこが究極地点であるかのように、消滅というもう極端の星が見える。ブリュッセルへ行きましょう、私の心は訴える、臓器の壁を打つように、そうして私は動かざるを得ない。つまり、何処でも良いのだ!世の土塊に大きな足跡を付けようと感情は歩調を選び始める。一歩一歩が跳躍のように大きい、しかし何という街だ、雑多なもので溢れかえり、相手を見誤って背伸びをする建物の多いこと。何という遠慮深い跳躍だ、自閉という白いヴェールに包まって漸く覚めた自己の若気が、その狭さを嘆いているほど。