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夏色

どこへ子どもは行っただろ
どんなあそびを見つけたろ
あなたに放られた 
あそびの道具
見る目が廻れば 仰ぎみる
高くそびえる 都市のビル
近くを通れば 映画館
遠くを覗けば あれだ
ひと際立った あの世

これが建物だと 気づかないのだ
いつかの洒落た人間が
こじらせた建物だと
見ろ あの建物を突っ立ち見やるぼくを
カラスの観察者と見なすものの過ちを
都市の一部にすぎない建物が
主張するのは未だない個性だ

個性よ!
自ずとあらわれるものよ
幽霊さながらあらわれて
幽霊のように消え去って
それが忙しい君の運命か

幽霊よ 教えておくれ
君は一体何者なのだ
幽霊は 丁寧にあらわれ言った

色好みの 桜よ
お前の秘してもつ桜色が
発色するのは俺が為
どんな人間にも分かるように
君の素性を
表舞台にやるのが俺の役目

いくら遠く放っても
放っておけやしない
梢に茂る葉のように
ひ弱であればあるほどに
見やすく 親しみやすく
頼り甲斐のある枝だ
どんなたまもの なんだって
ひ弱なところがあるもんで
なにも無闇に折っちゃあいけねえ

夏の浴衣に
見覚えのない数字が止まっている