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祈り

新しい芽もいずれ摘まれる。このような比喩に負けない人間ではなかったか、お互いに踏み扱いた土地に可憐な花を咲かせようといって、必ず倒れまいとしたあなたは何処へ行った。

生活の仄かな記憶は深夜のさすらう雲に被われて消え去る。この土地だけが私たちの影を繋げ、そこには確かな環があった。遠くはなればなれになった人間たちは、夜空を見上げ、彼らに特殊な輝きを与えてくれる星を通して、結ばれた星座のように、互いに語り合うという。彼らの心は逞しい。それほどの逞しさを、そして互いには心強さを私たちは持っていたが、それはしだいに小さくなっていった。

私はこの土地に棲み、あの丘で眠る一人の人間だ。森では夜な夜な狼が存在を知らせる如く吠えている。あなたはさながら奴らのようには吠えることができない、私もまたあなたの声を聞くことはない。頼りの星もない。高い丘に登り、あそこならあなたに、自分の存在が届くといってさらなる高みを目論んで飛ぶわけにもいかない。無力の手札で私はあなたの全てを放棄すべきなのか、いや、どうか良く生きてくれたらと、ただ願うばかりです。