「ねえ、悔しいわ。私には敵いっこないもの。貴方の絵は素晴らしいのよ、何がって、貴方の絵には必ず思想が根底にあるんだもの、そしてそれが自ら絵の表現を支えている、そこね、そういうものに無思慮な芸道は及び得ないと思うの。私たちは自慰行為の頻度が過ぎてると思えば、先ずは一日だけ止めてみて、そして次に二日に進むようなものだけど、何も考えずに停止したって収まらない。昨日ね、私はこう考えてみたの。果てしなく、そして儚い人生が朦朧として曖昧で、兎に角、私にはなにも見えない状態で、だけど、ずっとこのままなのかな。もし、私がこの雑然たる人生の中で一つの或る確かなものを見つけさえすれば何か変わるだろうかって。ねえ、全く無秩序なキャンバスに、真面目で面白くもない三角形があるのを想像してみて、でも白いキャンバスじゃダメよ、だってそこには見つけるものは何もないんだもの。もっと、そう、煩雑なキャンバスの中に、何よりもはっきりと三角形があるの。たとえ私が無思慮で、それでここまでなんとなく生きてこれたけれど、だけど今が本当よ。私はもう、私の人生はもうずっとこのままなのか、このまま退屈と享楽に果てるのかなんて問いも不安も、さながら黄昏の夕陽のように消えていくのを見ている。私はもうそんなロマンスも、そんな絵ともおさらばするの。ねえ、貴方の絵は夜なのに、どうしてそんなに明るいのかしら。答えなんて見つからなかったわ、答えなんていらなかったもの......」