_
群衆にまみれる、それが実は心地よく、孤独が嫌なのでなく、寄りあうことが好きなのでもなく、あの群れのなかに、いま探しているもの、それが何かは考えないけれど、知っているはずのもの、そういうものがあると信じてやまず、そういうものがあったと確信することもなく、ずっと街を歩き続け、探しているものの微かな匂いを感じ続けている人々が、街に溢れる食べ物、雑貨や衣服、物体、催し物、或いは他の人々の様々に触れようと身を投げて、果たして変わる景色を僕たちは知ることができず、ただ不毛な推測が現れては風で昇って消滅するのを見てぼんやりしている。あ、そら。空をながめる。空だけが、足の置き方も知らず行き場のないものに光を注ぎ得る。空だけが、到達不可能な知を僕たちの知る青色に変える。この青色は、僕たちと彼の人々とが同じものを探しているんだって教えてくれる。ときどきそれを、思いだすことがある。
.
otonarikaminari