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空を浮遊する雲の折り重なって、大きくなって、奥行き一面を占めている。窓の外、色素を抜かれた人々が行交っている、それを眺める。静けさは此処のものだった。道を歩けば静寂はない。閑静は要らない。だから此処を出ようと思った。そうして色素を抜かれた私も人々とすれ違う。思っていたよりも煩くない。無言、声、音よりも寒さがあった。すべきことはあるが、それにまして私は自由だ。ふらふらと歩くことで、何処かへ辿り着こう。ぼんやり、何もしないことが良いことだなんて思っていない。だからといって、何かをするわけでもない。私は自由だ。それだから、ぼんやり。ぼんやりしていると、髪の少しが風に乗ろうと靡いて、嫌な気持ちになった。塵中に紛れ込もう。蜜柑の匂いがやってくる。冬。それだけじゃない、捕えきれないものがたくさんになって、辺りを覆った。雪は見えないけれど、誰かが見せようとする。それじゃない、私が見たいのは。もっと、夏に活きる、あの陽の輝きを見たいと、そう思った。


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otonarikaminari