澱み夜の合間に流動する感情は、沈黙を遵守するようだ。
大人しい夜、安心しきった鼓膜、律動に吸収される音の散
乱も、各々すべて独立性を保っているように見える。腕に
広がる地肌を撫で撫で手を滑らせて、その爽やかな感触に
浸るように心は踊る。手指は幾らかの変形へ移行しながら
踊っている。僕はその過程の必然性を知らない。冷ややか
な皮膚をまとって連動する骨骨が、夜を微かに動かしてい
る。嗚呼、独逸に忘れ物をした。あの名前はなんであった
っけ。骨踊り続ける夜の君、忘れ去られた物の名前を教え
ておくれ。貴い夜に、幾分風通しが良い。嗚呼、その声は
ヴァイマール?揺るがない首筋に添えられた幾万の言葉、
掴み処なく拡がる復古の匂い。果たしてその跫音は。テク
ノビートに揺れる部屋、そこから現出する影に感情は暇な
く応えている様子。そのとき水が、肌を静かに泳いでいく。