1995
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(1)
冷た風
冷風肌に至りて登りゆく、虫も参りて静かな舞踊。
秋の匂いが脚元にちらつく夕刻の、物のすき間のように大人しい時間を何処で過ごそうかとふらつくうちに、御覚悟宜しゅう樹の孔に飛び込んだ。真っ暗闇の寝床にゆわい光の零れたる。宵過ぎ、其処から首を出し、辺りを伺うのに幾時を経て竟に飛び出たら、間もなく夜の雲をば身に纏い、彼方知らずの月を仰げば、照らされた貴方を思い浮かぶ。風のように何も残らぬ我が声よ、力なく地に舞い降りたなら、其処を踏み場として途と成れ。鮮明に夜。常しなえの情が仄めく。
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