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年果て、晩冬。

冬は寒い。どんなに新しい人間でも冬は寒いという。部屋の中は暖かい。物の無い部屋である。この部屋を事細かに描写すれば、一段と寒気が強まるような気さえする。この部屋の夜は丸い、そもそもが暖炉であるような雰囲気を持っている。私は、その中を動き回っているというわけだ。が、寝静まって朝を迎えると、部屋の空気は凝縮されて私と伴に震えるようである。点である。何時まで私がこの部屋、この場所に慣れていようと、この月の朝は、冬という世界が私の寝顔の傍にあるみたいで、手足一つでも遣わそうものなら、と、私はこの影にさえ怯えてどうも動けない。人の世の軽きに見とれているうち、晩冬の重さは陽光さながらに流れ込む。悲劇と喜劇と云うように、軽きと重きとがあり、その二項があればこそまた、侘びと寂びとがあるのだと、私は思う。