智慧
多くのものが塵芥に伏される時のなかで、未熟にも勝ち得た今迄の経験が、私の中でより尊い偶然によって引き寄せられるとき、それは美しいのだと思う。ちょうど其のものに調和する貝の形態のように、周囲の自然に調和する千々の動物の模様のように、時には醜悪な様子を醸しながらも、自ずと私の経験は形成される。憂鬱も、狂信も、熱狂も、復讐心も、怪奇も、茶番も、夢想も、気紛れも、鬼火の如く奥のなか間に現れるにせよ、妖精の如くかたわに現れるにせよ、どうだい調子はと尋ねる感じでも、前衛の閾には入れまい。彼らは弔い楽士で、私はただ唯一の行進者だ。憂鬱も、狂信も、熱狂も、復讐心も、怪奇も、茶番も、夢想も、気紛れも、私の声音に相応しいが、だからとて放埓に踊らせたりはしない。彼らは弔い楽士で、私は獣を輪廻へ牽きて行く智慧だ。
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otonarikaminari