1995
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七夕
頭痛がおこる
梅雨のにおい
灰色のそら
湿気があそび心で
蚊を描く
施設放送が流れ
人が流れ
花は枯れ
誰もいなくなったベンチで
本を読む私の足の上を
一匹の蟻が這う
豊かな色どりのなかで
「幸せに過ごせますように」と
雨は七夕の
短冊に判をおす
蚊取線香を足もとに置いて
物音と雨音に挟まれて
旧い洋館の二階から
川面の波紋をながめみる
此処にいない私
幸せも
それを知らない人間には
さしあたり無意味である
岐路を戻る
読みかけの本の
手指を挟んだところから
よどみなく
最後まで
読み切る私がいる
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