古来
自己に打ち克つといわれる。自己の内に最大の敵が潜んでいる。また我々は人間の野性を知っている。此の世には碌でもない奴らが住んでいる。身の回りの平安を望む人間としては、敵の存在は私を動揺させる無価値な、除外すべき障害だったかもしれない。自ら良き道を歩んでいるという、生の感覚の中で与えられる死はまるで人の影のように客観視を拒んでいる。自ら正しき道を歩んでいきたいという、心強き意志の中に潜む愚鈍な怠惰は私に忍耐と努力を与え続ける。それらの道を阻む他の人間がいる。私も彼らも反抗心で絶えず煮え滾るが、私と他と相対する限り、それがまた、我々を高みへと導くだろう。我々の過ちは、その将来が自分の下で、確かに数えられると信じてしまうことである。
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otonarikaminari