時には
満たされない夜をただ延ばすだけで、朝は来ぬと目を瞑る。目覚めると全てが流されてしまったように思う、川の上流に点座する岩のように朝が如何なものかを、間抜けて忘れてしまった。もみじの天蓋から漏れる陽光もさだかでない。午後の衣を脱いで、冷たい風にあたるのが気持ち良いとさえ思うこの頃、夕刻は扉を開けるといつの間にか居なくなっている。また夜が来たと思い、朝は来ぬと安まらない。耳のそばで音が戯れると田舎の情景が目に浮かび、朗らかな心地になったり、じっとしていると、散歩ながら遠くの町へ辿り着いてしまったときのような寂しさに出逢う。時経ちて鳥が鳴き始めたとき、温めた牛乳を飲む、朝陽を浴びて目が覚めるように、暖まる身体のなかに朝があった。
.
otonarikaminari