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秋の棺

秋も頼りのない曇り空が似合うようになって、如何なれば草葉よ、木枯らし吹いて微動する。震えて泣いて、何が哀しくて墨の木陰に隠れたる。真似ては人も、光洩らさぬ暗き部屋で枕に縋りつく。飽きられては仕方ないと、臥した寝床の荒ぶ果てに、回転木馬の残りものが夢の中を駆けまわる。止まるな、動け、すべてが立方体に還ろうとも。止まるな、止まるな、歴史的建造物に埋もれた千萬の、透明なる死骸が冷ややかにほくそ笑む。 風吹き草葉の靡く横顔を、じっと見て佇むうちに今日の予定を思い出す。今日はどちらへまわるか知らねども、回転木馬よさようなら。風吹きことぶきの詩集を仮初めに見、何か善き、何か悪しきか、知らず、人間はどの方角を進んでも遥かなる同じ場所へ到るという、一個に過ぎぬ私には落ち葉を集めた棺の中が相応しい。その上で、新芽が出づるを夢見たい。冬に咲き、春に知られぬ花も、凛乎として美しいに違いない。霜山の峠を越えた春の香りを愉しむものよ、幸いなれ。