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冬の花

年果つる月明かりもて此処に記すは常しえの手ざわり、霜月更けて忙しなく、吐息の空へ広がり至る時分、冬はお読みになりませんか?この冷たい風が貴女の頬を染めたのを知らせます。その頬が雲間から出てくるなら、私は夢の途中でも目を覚ますのに。貴女が此処に居ないなら、時でさえ触れられぬ貴女の変わらぬ姿を思い浮かべることができる。しかし私に許されたその束の間も、流星のように儚い。仰いで息を渡らせたなら、もはや星の涯なさが沁みるだけ。

みんな去っていった、それは確かに分かった。誰もが変わらぬ幸せを願えば、それに適う現実を探し続ける。幸せを手にしたところで、未だ幸福を探し続ける者がいる。私の身体を二つに分けることはできないと、心だけ添えて送れば、たよりなくひらひらと剥がれ落ちる。誰もが愛の洞窟に住んでいるとき、一人だけ住居の材料を採りにいったところでなんになろう。人々の間柄はさながら自然が築くように与えられることはない。時に破れる恋ならば、愛の芽の咲く季節頃。風吹けばなんてことのない地肌が顕れる具合に、虚しい心のフィルムを映写機で回しましょう。映し出された画面の奥から人が近づいてくるなら、人間の変わらぬ姿がきっとある。燃える情念の焦がれ果てたとき、雄大なる景色が広がるなら、私の変わらぬ心に相応しい。

貴女の言葉を思い出す。私は熟する果実の色を知っている、歳を摂るにつれて貴女はより美しく、にじむ色の趣深く、いっそう魅力的になるのだから、爺さん婆さんさながらに盛衰を謳うなどせずとも、強き心もて、朝の珈琲と夜の深睡という二本の脚が動く限り、いつでも美味しいものへと辿り着く。その途、きっと麗しい花咲いて、また、ぼくにそれらを摘ませてくれますように。