影ながら
友を祝うように年末を迎えよう。紙吹雪の舞うさなか、何気ない言葉を交わしながら右手の手紙を友に渡し、心残りはない、来年も宜しくと言ってその場を去った。寂しさか、楽しみか、誰の顔も見ずに去った。友よ、私の言葉は届いたろうか。舞踏会に忍んだキューピッドよろしく、場凌ぎの会話に潜り込んだ私の言葉は、今やあなたと二人きり。何者も邪魔をすることなく、実の宿った対話ができる、これ以上ない機会だと、そして本当に、もう二度とないと分かる。まるで今夜、温かい柚子茶を飲んでほっと眠りつくように、受け取った言葉が一夜限りに心を温めさえすればよい。感動の想い出はいつだって儚く、思い出すのも困難なほど虚ろである。いつか語り尽くすこともできた苦悩も、冬に応えて色褪せて、木枯らしの掠める寂寥たる頰に赤みを残し、曇り空の似合う道端で踏みしめる忍耐の中では散りとなる。離別においては、誰一人退がるものはいない。惜しむ心を贄にして、旅立つ友を祝うように年末を迎えよう。受け取った言葉を大切に置き去った、あなたの歓喜を私は知っている。
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otonarikaminari