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双子

双子の街灯 天への階段
おまえが行くなら おれも行く
あんたが死ぬなら あたしも死ぬよ
共に進めよ 螺旋式
貴方にとって 大切なのは?

二人揃って 一つの世界
彼奴がいなけりゃ どうにもならない
此奴がいるなら それで充分
ミニマリズムの 定めかな

双子の街灯 天への階段
支点ずらせば 恋物語
揺らぐ想いも さあ終わり
友に伝えよ 小さき悲劇
貴方にとって 愛なのは?

潮時

核を揺さぶる重大事の、鈍よりと知らぬところで進行するような雰囲気が、此処にある気さえする、そうしたところに、どんな花が咲くだろう。何を求めて茎を伸ばそう、ここは陽の届かぬ場所。果ての充溢を如何に発散させよう、静寂を通る生命のリズムが、ただその仕事の為だけに音を鳴らしている。強く、弱く、虚しさの波を打つ。其処に在る多くのものが、それに従うように潜みがちに佇んでいる。人の既に居ない沈みゆく船のように私はもう、私自身、泥沼となってしまうのだ。人間の日常の、一刺激にすらならないものへと還っていく。私と君とを結ぶ関係が、たった一つの棘によって、次第次第に朧げとなって消失する。余力を無力に放ちながら沈没する。かつて私も棘であったやもしれない、或いは棘であり得るか。生命のリズムが、花と太陽とを共に抱き合わせるように、私と私の運命が重なり合うその時を、さながら月の沈むに、闇の衣の引かれるように移り行き、私はここでない別の空間で、静かに育むのだ。

kkrr

雨のしとしと、髪の毛一本抜けたるを見つけ、
ひらひらと、塵箱に落とす。
滴は垂れて、挨拶交わす蛙どもに、
レモングラスの香りをどうぞ。昼。
音を拾い、丁寧に仕上げたら、
一丁手前の喉上げて、歌い転げて夜半におやすみ。
蛍の月、未だ知られぬ稚児たちの、紅起つ頬へ接吻を。



あめのゆめ

言葉失くして雨さわがしく、
その音の、
ますます心身へひたる心地して、
夜の濃き、夢の門はひらかれる。

理性はその脚を休めてる。
魚の群れのように動きまわるもの、
唐突にその居場所を変え、
どこかの家、故郷は懐かしき海、一度きりの山、
学校、ぼやけた恋心、追い求めては弛まぬ精神、
浅く、深く、白く、黒く、表情を変え、
その影は混沌の形を様してる。
理性はそれを、じっと見つめたまま。
「我々を支える微細の流動が、
   こんなにも、こんなにも。」








melancholy

歯磨きをしている。何故だか知らないが、目の前の鏡の、その中にも鏡がある。連鎖の形で奥へ奥へと並んでいて、少なくとも七つまでは認識できる、あとは連想に任せるしかないのだろうか。ずっと続いているのだろうか、何処までも果てしなく、さあね。だけどこの世界だ、へんなところで未知なる島が見つかったりするもんだ。そしてこの野郎だ、そういうことを考えるのには苦労ない。歯磨きをしている自分を凝っと見ていると、妙な思いに憑かれる。変な顔だと思う。なんだその目は。何にも魅力がない、嫌になる。ふとして朝の小さな音が、ぽつんぽつん、その居所を教えているように聞こえる。七つ目の鏡が可愛らしく思える。小さくて、子どもなのか、末っ子のようにみえる。取り出してみたくなる、欲しいと思う。でも、それは許されるのだろうか。どうしてか遠い、自分こそが、遠く離れてしまったように考えてしまう。私はこの鏡を前にして、行き場を失った感覚でいる。綺麗な洗面台、朝陽をうけて、それが淡黄檗に色めいている。私はこの鏡が、鏡でないことを知っている。どんなお伽噺だ馬鹿野郎。そう思ってしまえば、それで終わりなのに。