どーなつ の わたし、
それはとても夢のようで、
それはとても映画のようで、だけど、
突き刺さるような胸の痛みと、
禁じられた部屋を覗く時の情感と、
それらがつねに付きまとい、
あなたをそこから離さない。
どーなつ の ゆめ、
それはとても子供に似て、
それはとても遊戯に似て、だけど、
演技のような不自然さと、
無制約に溢れる不条理と、
それらが忽然と現われ、幼く、
それでいてまっ広い外の風景が壊れゆくとき、
まるで虚しい追求を課されたかのように、
あなたは手を延ばし、だけど動けない。
どーなつ の へや、
それはとても魅惑的で快楽的で豪華、
それはとても粗雑に儚さを隠す。
慣れたと思い込んだ匂いも、
叶わぬと潜めた安心感も、
気づけばすべて模様替え、
躍然たる街の風。
あなたになにが分かるのか。
cine_a
見知らぬ街に降り立つように、
踏み込んでしまった自分の足、
其処だけ時間のとまったみたいに、
投げ捨てられ、見捨てられた屑紙。
街を彩る輝きは視界に被さって、
街を見下ろす空が窮屈に見える。
其処がどれほど喧騒と付されても、
それでは僕の地肌を流れるだけで、
流れた記号は影にさえなりえない。
映画館の傍にある人気のない薄暗い通りの掲示板に、
並べて掲載された映画ポスターの横を通り過ぎた時、
上流から下流へと向かうように込み上がっては広がる意識、
それが強く残像の尾を伸ばしながら他の影を寄せ付けない。
君が座席をまだ離れていないなら、
僕は何処まで歩いたって君のもの。
スクリーンに映し出された君の姿の、
つい先ほどの虚構を纏って座るのを、
誰が気づいて手を差し伸べるだろう。
配置された放光によって煙にもならず消え去ってしまう、
この行き場のない孤児の居場所を誰が知り得るであろう。
僕は此処に居る。
そうしたことがどうしようもなく無意味であるときがある。
君が其処に居る。
そうしたことが限りなき時間へ齎されるのを信じてみたい。
歪に重ねて過去を着飾る街は、どんなに永い糸でも断ち切るのだから。
断ち切られた各々は、何処を向くべきかも、何処を彷徨うべきかすら、
教えられることなく、音もなく跡もなく、まるで既知の如く消滅する。
それこそ、あの影が、あの内気な彼が、沈黙の内に観ているもので、
そのうら、僕と、静かに夢の中の君は、同じ場所で同じものを観て、
刺激的な繁華街の煌めきの塵となって、微笑みを刻むことなく薄らぐとき、
彼の眼差しに輪郭をもった手が翳され、始まりも終わりも忘れ去られてゆく。
踏み込んでしまった自分の足、
其処だけ時間のとまったみたいに、
投げ捨てられ、見捨てられた屑紙。
街を彩る輝きは視界に被さって、
街を見下ろす空が窮屈に見える。
其処がどれほど喧騒と付されても、
それでは僕の地肌を流れるだけで、
流れた記号は影にさえなりえない。
映画館の傍にある人気のない薄暗い通りの掲示板に、
並べて掲載された映画ポスターの横を通り過ぎた時、
上流から下流へと向かうように込み上がっては広がる意識、
それが強く残像の尾を伸ばしながら他の影を寄せ付けない。
君が座席をまだ離れていないなら、
僕は何処まで歩いたって君のもの。
スクリーンに映し出された君の姿の、
つい先ほどの虚構を纏って座るのを、
誰が気づいて手を差し伸べるだろう。
配置された放光によって煙にもならず消え去ってしまう、
この行き場のない孤児の居場所を誰が知り得るであろう。
僕は此処に居る。
そうしたことがどうしようもなく無意味であるときがある。
君が其処に居る。
そうしたことが限りなき時間へ齎されるのを信じてみたい。
歪に重ねて過去を着飾る街は、どんなに永い糸でも断ち切るのだから。
断ち切られた各々は、何処を向くべきかも、何処を彷徨うべきかすら、
教えられることなく、音もなく跡もなく、まるで既知の如く消滅する。
それこそ、あの影が、あの内気な彼が、沈黙の内に観ているもので、
そのうら、僕と、静かに夢の中の君は、同じ場所で同じものを観て、
刺激的な繁華街の煌めきの塵となって、微笑みを刻むことなく薄らぐとき、
彼の眼差しに輪郭をもった手が翳され、始まりも終わりも忘れ去られてゆく。
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otonarikaminari
ci_ema
僕が選んだこの席は、隣の席から程遠く。
如何に巨細な出来事も、目前に隈無く詰まりきり、
如何に微細な音響も、両耳の奥底まで擽りにくる。
如何に親しくとも友人よ、君の声は聞こえやしない。
何にも見えやしない真っ暗闇の空間は、これが合図。
脚のあるという感覚が止め処なく現われ、
それでも安静の型を探して果てしなく、
そのとき身近な音があり得ない現実を帯びて響く。
仮睡の夢に既に落ち着く、相思相愛なる恋人よ、
夢に遠く、染み入る蜂針をもって、
現に遠く、ほんのり痛みをあたえ、
囁きは頭骨の隙間から、
叫びは望遠の辺境から、
仮初めに強く呼び起こされる。
スクリーンはじっとして、
いつかの涙も、盛大な笑いも、
淡々と引き受けて、僕に対して、
いつも同じように振る舞っている。
スクリーンと僕の席との関係は、
確固たるものでありながら、それに乗じる僕は、
未だに不安定で、落ち着かない。
如何に巨細な出来事も、目前に隈無く詰まりきり、
如何に微細な音響も、両耳の奥底まで擽りにくる。
如何に親しくとも友人よ、君の声は聞こえやしない。
何にも見えやしない真っ暗闇の空間は、これが合図。
脚のあるという感覚が止め処なく現われ、
それでも安静の型を探して果てしなく、
そのとき身近な音があり得ない現実を帯びて響く。
仮睡の夢に既に落ち着く、相思相愛なる恋人よ、
夢に遠く、染み入る蜂針をもって、
現に遠く、ほんのり痛みをあたえ、
囁きは頭骨の隙間から、
叫びは望遠の辺境から、
仮初めに強く呼び起こされる。
スクリーンはじっとして、
いつかの涙も、盛大な笑いも、
淡々と引き受けて、僕に対して、
いつも同じように振る舞っている。
スクリーンと僕の席との関係は、
確固たるものでありながら、それに乗じる僕は、
未だに不安定で、落ち着かない。
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otonarikaminari
_inema
映画館の待合室は薄暗い。テーブルへ明かりが当てられ、
そこには映画のパンフレットがいくらか並べられてある。
バイトと開演を待つ客の幾人が静かに煙のように散在して、
待合の色調に併せられた濃赤と深緑のソファが沈んでいる。
テーブル、そこに置かれたパンフレットを眺め見て、
気になるものをふと手にとったが特に読む気もなく、
形だけとでもいうように表裏を繰り返し見るだけで、
そのあいだ人が流れるようにテーブルのそばに来て、
新規のものよりも既知のものを探すように目を遣り、
小さな映画館の玄関の呼び鈴が鳴る度に顔をあげる。
人々は淡い明かりに包まれて、まるで時の静止を帯びている。
彼らの内なる鼓動の代わりに、時計の針の音が聞こえてくる。
硝子扉を通して見る外の風景がある。シアター1の閉じた重厚な扉がある。
この現在の拡張された待合室はどんよりと、鈍く、去来の風を待っている。
結局僕はテーブル近くに居憑いて、だけど壁に貼られたものに気づいて、
顔を近づけて、目を凝らして、いま尚観れずに諦めていた名画の再上映、
でもそれだって、いまはぼんやりしていて、 たぶんそれどころじゃない。
僕の中に出来上がった作品と僕との関係は未だ至り得ないほど奥にある。
再上映の告知パンフレットを観ながらそれについて考えようとするとき、
ほんの小さく広がる光景から、沈んで深緑に染まって隠れていたものに、
ゆっくりと明かりが当てられて、空気の入れ替わってゆくのを感じとる。
そこには映画のパンフレットがいくらか並べられてある。
バイトと開演を待つ客の幾人が静かに煙のように散在して、
待合の色調に併せられた濃赤と深緑のソファが沈んでいる。
テーブル、そこに置かれたパンフレットを眺め見て、
気になるものをふと手にとったが特に読む気もなく、
形だけとでもいうように表裏を繰り返し見るだけで、
そのあいだ人が流れるようにテーブルのそばに来て、
新規のものよりも既知のものを探すように目を遣り、
小さな映画館の玄関の呼び鈴が鳴る度に顔をあげる。
人々は淡い明かりに包まれて、まるで時の静止を帯びている。
彼らの内なる鼓動の代わりに、時計の針の音が聞こえてくる。
硝子扉を通して見る外の風景がある。シアター1の閉じた重厚な扉がある。
この現在の拡張された待合室はどんよりと、鈍く、去来の風を待っている。
結局僕はテーブル近くに居憑いて、だけど壁に貼られたものに気づいて、
顔を近づけて、目を凝らして、いま尚観れずに諦めていた名画の再上映、
でもそれだって、いまはぼんやりしていて、 たぶんそれどころじゃない。
僕の中に出来上がった作品と僕との関係は未だ至り得ないほど奥にある。
再上映の告知パンフレットを観ながらそれについて考えようとするとき、
ほんの小さく広がる光景から、沈んで深緑に染まって隠れていたものに、
ゆっくりと明かりが当てられて、空気の入れ替わってゆくのを感じとる。
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otonarikaminari
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群衆にまみれる、それが実は心地よく、孤独が嫌なのでなく、寄りあうことが好きなのでもなく、あの群れのなかに、いま探しているもの、それが何かは考えないけれど、知っているはずのもの、そういうものがあると信じてやまず、そういうものがあったと確信することもなく、ずっと街を歩き続け、探しているものの微かな匂いを感じ続けている人々が、街に溢れる食べ物、雑貨や衣服、物体、催し物、或いは他の人々の様々に触れようと身を投げて、果たして変わる景色を僕たちは知ることができず、ただ不毛な推測が現れては風で昇って消滅するのを見てぼんやりしている。あ、そら。空をながめる。空だけが、足の置き方も知らず行き場のないものに光を注ぎ得る。空だけが、到達不可能な知を僕たちの知る青色に変える。この青色は、僕たちと彼の人々とが同じものを探しているんだって教えてくれる。ときどきそれを、思いだすことがある。
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otonarikaminari
Die Leiden
あふれる思いを一つに編む、それだけのことなのに、戸惑ってしまう。日常の道標が目の前に立っていても、秋を由来する肌寒い風や紅葉、飛びだすように趣味に向かう人々、そんなふとした経験で、ここが何処なのか、わからなくなってしまうことがある。何処へ向かうのか、忘れてしまうことがある。それだけのことだから、戸惑ってしまうのか。夕べのそらに、ひとつ引き金を引かせよう、そういうじぶんがいる。
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otonarikaminari
Kotohajime
与え給え。
幾重の布地も貫き通す、一本の剛強な針を。
如何に小さな針穴も、隙なく鮮明に映す眼を。
近きもの、遠きもの、そして果てなきものに、
認識の階梯を与えるための彩りを。
当然たる障壁、待ち潜む試練、そして根底に燃ゆる意志が、
抑制されることなく交錯する回廊のただなかで。
幾重の布地も貫き通す、一本の剛強な針を。
如何に小さな針穴も、隙なく鮮明に映す眼を。
近きもの、遠きもの、そして果てなきものに、
認識の階梯を与えるための彩りを。
当然たる障壁、待ち潜む試練、そして根底に燃ゆる意志が、
抑制されることなく交錯する回廊のただなかで。
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otonarikaminari
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残暑の尾が秋へ、その奥へ、のびている。
夏から秋へ。秋から冬へ。
星々の移りゆきに夜の灯りは色を変える。
流星は月夜の吐息に隠れ、
僕の手は、生へ、その奥へ、のびていく。
夏から秋へ。秋から冬へ。
星々の移りゆきに夜の灯りは色を変える。
流星は月夜の吐息に隠れ、
僕の手は、生へ、その奥へ、のびていく。
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otonarikaminari
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